COLUMN コラム

仲間と顧客はどのように集まるか?

落合文四郎
Alue co.jp CEO
2021.10.21

前回の記事では、戦略ストーリーを生み出すストーリー(メタストーリー)の全体像についてお話ししました。前回のnoteでご紹介した「いい戦略」をつくる5つのステップの図を再掲します。

前回は「①主体的真理(ありたい姿)とのつながり」まで説明しました。今回は②~④のステップを取り上げます。

②エコシステムの出現・発展
純度の高い意識・エネルギーに共鳴するエコシステム(≒ 人同士のつながり)が出現し、発展していく

③仲間の出現・強化
純度の高い意識・エネルギーを具現化する仲間・チームが出現する(強化される)

④顧客の出現・増加
純度の高い意識・エネルギーに共感して、価値を感じる顧客が出現する(増加する)

ここでのテーマは「仲間・顧客集め」です。大枠をお伝えすると、ステップ①で発露した主体的真理が求心力となり、共鳴する仲間・顧客が集まって、戦略が作られていく、という内容になります。

エコシステムとはなにか?
ステップ②は「エコシステムの出現・発展」です。要するに、主体的真理に引き寄せられて人が集まるということなのですが、ここであえて「エコシステム」という言葉を使ったのには理由があります。

エコシステム(生態系)とは、生物が集団として生き、他の生物や環境と相互作用する在り方の全体のことを指します。そこから転じて、会社や組織が集団として活動をして、他の会社・組織や環境と相互作用する在り方の全体のことを指します。

対比の概念としてわかりやすいのが、コミュニティです。コミュニティは共通の目的がある集まりですが、エコシステムには共通の目的があるわけではありません。

ビジネスの世界観でいえば、会社はコミュニティ的ですが、顧客や競合やサプライチェーンを含めた業界全体はエコシステム的です。

学生時代の部活やサークルの仲間とのつながりは、当時でいえばコミュニティ的性格が強いと思いますが、社会人となり別々の道を歩んでいる現在でいえばエコシステム的性格をもつと言ってもいいかもしれません。

あるいは、みなさんとコミュニティ的につながっている人の、さらにその先つながっている人たちは、みなさんにとってはエコシステム的と捉えることができるかもしれませんね。

このようにコミュニティとエコシステムというのは、0-100の議論ではなく、どちらの要素が強いかという段階的な捉え方をするのが良いと思います。

いい戦略を作り出すストーリーにおいて、コミュニティの要素とエコシステムの要素の両面がとても大切になります。我々は日常的に、コミュニティ的なつながりの人とのやりとりが多くなることを前提とすれば、いい戦略を作りだすためには、コミュニティ的なつながりだけではなく、エコシステム的なつながりに目を向ける必要があると言っても良いでしょう。

エコシステム的なつながりに目を向けることで、コミュニティ的なつながりよりも広い範囲から、共感ベースの人的ネットワークを通じて、仲間や顧客と出会うことができます。

これはコミュニティ的なつながりから仲間や顧客と出会うことを否定するものではありません。それだけでは、狭すぎることが多いということであり、エコシステム的なつながりまで含めて共感ベースの仲間集め、顧客集めをしないのは「もったいない」ということです。

せっかく、自分の主体的真理につながりながらやりたいことを発信していくのですから、なるべく広い範囲の人たちにその想いを伝えて、共感してくれる仲間・顧客との出会いを見つけていく方がいいと思いませんか?

当社が起業したときの仲間、初めての受注に至ったお客様との出会いもエコシステム的なつながりでした。当社は、私を含めて3人(高橋浩一さん、池田祐輔さん、私)でスタートしていますが、私と高橋浩一は大学時代のテニスサークルの仲間です。大学時代は、コミュニティ的なつながりでしたが、社会人になってからは別々の会社に就職していますので、共通の目的をもっているわけではなく、エコシステム的なつながりだったと言えます。

また、池田祐輔さんは、高橋浩一さんの知り合いであり、私とは直接の知り合いではありませんでした。高橋浩一さんの紹介で出会い、事業の話をする中で意気投合して、一緒に起業準備をすることになり、創業メンバーとなりました。私と池田祐輔さんとのつながりもエコシステム的なつながりだったと言えます。

初めて受注したのは、前職BCGのつながりで、中途同期入社のSさんからでした。BCGにいたときはコミュニティ的なつながりでしたが、Sさんはその当時すでにBCGを卒業して、起業されていましたので、エコシステム的なつながりと言えます。

また、当社が独自で開発した100本ノックという教育研修プログラムを初めて受注したのは、池田祐輔さんの知り合いのTさんからでした。これもエコシステム的なつながりと言えます。

当社が創業当時にエコシステム的なつながりの中で、共感してくれる仲間や顧客を増やしていった経緯については、創業メンバーで取締役の池田さんがnoteを書いていますので、是非ともご一読ください。

(1)知り合いづてにとにかく営業活動を実施する(シード期)

このように、エコシステム的なつながりの中で、共感してくれる仲間や顧客との出会いが生まれていきます。みなさんはどのようなエコシステムの中にいますか?自分にとってのエコシステムを意識化してみることは有用かもしれません。

普段あまり気にかけていないつながりの中にこそ、将来的に何らかのヒントをもたらしてくれる存在がいたり、将来的にあなたの主体的真理に共感してくれる仲間や顧客になってくれる存在がいたりするかもしれませんね。

個人のストーリーを語ることの重要性
仲間や顧客を集めるために、エコシステム的なつながりに目を向けることの重要性はご理解いただけたかと思いますが、もちろん、「何もしなくても、自然と出会いが増えていきますよ」という話ではありません。

仲間や顧客になるような共感ベースのつながりの根底には、みなさんが発する主体的真理への強い共鳴があります。共鳴する人を集めるためには、みなさんが外部に対してみなさん自身のストーリーを語る必要があります。ここで言うストーリーは、事業展開のストーリーという意味だけではなく、個人的な人生のストーリーを含みます。これまでやってきたこと、そしてこれからやっていきたいことを、自分の想いとして、自分の言葉で語るのです。

例えば、ソフトバンクの孫正義氏は、創業時の朝礼でみかん箱の上に立ち演説をしたという有名なエピソードがあります。「わが社はデジタル情報革命で、知恵と知識の共有を推進して、人類に貢献する。(中略)そして、1兆円、2兆円という、兆という単位のビジネスをする企業になる」という趣旨の演説を、2名のアルバイトの前でやったのです。(動画はこちら 42分頃から)

その2名のアルバイトは「ついていけない」と思って1週間後に辞めたそうですが、こういった語りの繰り返しによって、本当に共鳴する人が集まり、現在のソフトバンクグループの姿に進んでいったのだと思います。

私自身も、このような記事での発信を通して自分の主体的真理を語っています。会社としてではなく個人の名前で発信し、個人的な想いも含めてそのまま綴っています。そうすることで、心から共鳴してくれる仲間と出会いたいと思っています。

自分自身のストーリーを語ることで、主体的真理を伝えることができます。そして、その語り口が個人的で生々しいほど、強く共鳴する人を集めることができるのです。そこから仲間・顧客が生まれ、事業がつくられていきます。

落合文四郎blog
2021.10.21