COLUMN コラム

ヴィジョンは過去にその本源がある

落合文四郎
Alue co.jp CEO
2021.09.09

これまでの記事において、ヴィジョンの構想プロセスについてお話しをしてきました。これまでの内容をまとめると次のようになります。

ヴィジョンの構想プロセス
① 主体的真理から始める
② 意識の自然な流れと、意識の偏在のギャップに注目する
③ 問いを立て、直感を活用する
④ 対話とマッシュアップによって、ヴィジョンを共創する

ヴィジョンシリーズもいよいよ大詰めです。本章の最後の記事として、ヴィジョンは過去にその本源があるということをお伝えしたいと思います。

ヴィジョンが現在や過去とは切り離されたものになっていないか?

ヴィジョンは将来像だから将来のことを指すのではないだろうか。それが過去に本源があるとはどういうこと?

このように感じられた読者の方が多いのはないでしょうか。おっしゃる通り、ヴィジョン=将来像、ですので、ヴィジョンそのものは、将来のありたい姿を具体化したものになります。しかし、ヴィジョンが、現時点とは切り離されたものになってしまうと、ヴィジョンとして掲げていても、日々の活動とのつながりが薄いものになってしまいます。

あなたが属するの会社・部署・チームのヴィジョンは何ですか?
最近、そのヴィジョンに近づいている、あるいは、それが部分的に実現されていると感じられる出来事はどのようなものですか?

このような問いかけをされたときに、どのようなイメージを湧きますか?ヴィジョンを思い起こすことが難しかったり、思い起こしたとしても、具体的な活動や出来事と結びつけることが難しかったりするかもしれませんね。

このような難しさを感じる場合、ヴィジョンが現在や過去とは切り離されたものになってしまっている可能性があります。

ヴィジョンとのつながりを感じながら今日の仕事に向かうことができたら素敵ですね。そして、ヴィジョンとのつながりのある過去の仕事に誇りが持てて、それが積み上がっている感じがしたら充実感を持てますね。

ヴィジョンは、現在や過去とつながっている
ヴィジョンを構想するとき、あるいは、再解釈するときに一番大切なことは何でしたか?

落合文四郎コラム ヴィジョンは過去にその本源がある

主体的真理、あるいは、自分の内なるエネルギーとのつながり、でしたね。

主体的真理あるいは自分の内なるエネルギーとのつながりがあれば、ヴィジョンは、未来のありたい姿を語るものだけではなく、現在、そして過去とも必ず繋がっています。

なぜなら、主体的真理や自分の内なるエネルギーの発露は、現在にもありますし、過去にもあるからです。その具体的な形は、ヴィジョンで示されている未来のありたい姿とは違うかもしれません。ただ、自分の主体的真理や内なるエネルギーが発露したという意味では同じような事象が、現在にも過去にもあるはずです。

具体例でご説明しましょう。当社のヴィジョンとして、「育成の成果にこだわるを基本コンセプトとした、国内大企業育成マーケットにおけるトッププレイヤーとなっている」というものがあります。現時点ではまだトッププレヤーになれていませんし、育成の成果にこだわるというのも道半ばですから、これは将来のありたい姿であり、現状とはギャップがあります。

一方で、このヴィジョンは、当社の現在や過去とも密接なつながりがあることを感じます。例えば、「育成の成果にこだわる」という面においては、以下のような取り組みが繋がっています。

▼当社のトレーニングサービスである100本ノックは「知識をインプットすることと、スキルを定着化することには、成果を生み出すという面において大きな隔たりがある」ことに着目したものであった
▼お客様それぞれの育成ゴールを、お客様ごと、施策ごとにしつこいくらい確認をしている
▼当社独自のアンケートを開発して、受講生の満足度と有効性から、トレーニング改善に結びつけている
▼育成成果を生み出すためには、技術的課題だけではなく、適応課題(価値観の変容を伴う課題)への対応が必要であると考え、そのソリューションを生み出しつつある

ここで大切なことは、これらの過去の取り組みは、必ずしも現在掲げているヴィジョンの実現のために、明示的な繋がりをもちながら、実践されたわけではないということです。それぞれの取り組みにおいて、その時々において掲げていたありたい姿やヴィジョンとは明示的に繋がっていたとしても、現在掲げているヴィジョンと明示的に繋がっていたとは限りません。

後から振り返ると、つながっているように見えるという感覚です。現時点のヴィジョンの根源にある内なるエネルギーや主体的真理からみたときに、Backward looking的につながって見えるということです。これまでの経験の再解釈と言うこともできるでしょう。

別の観点から言えば、「今のヴィジョンと、その根源においてつながっている過去の出来事や、今やっていることは何だろうか?」という問いは、今のヴィジョンを再解釈すること、そして、過去の出来事や今やっていることを意義づけるために、とてもいい問いとなります。

もし、この問いに対して、あまり繋がりが見出せないとするならば、そのヴィジョンと自分あるいは自分のチームにある内なるエネルギーとの繋がりがあるかどうかに問いを立てるといいかもしれません。

過去の出来事や今やっていることとの繋がりを見いだすことができれば、「全く新しいものを0から生み出していく」、という感覚ではなく、「既にあるものを大きくしていく」という感覚でヴィジョンの実現に取り組むことができます。

落合文四郎コラム ヴィジョンは過去にその本源がある

そして、この「既にあるものを大きくしていく」という感覚が、ヴィジョン実現の可能性を飛躍的に高めるとともに、ヴィジョンと目の前の仕事や取り組みとのつながりからくるやりがいや充実感をもたらしてくれます。

いまからヴィジョンに生きる
「既にあるものを大きくしていく」という感覚を持てるようになると、「ヴィジョンの実現のために、今は実現していない世界の中で頑張る」という感じではなく、「今まさにヴィジョンに生きている」という感覚に近くなってきます。

山登りに例えれば、ヴィジョンは山の頂にいる状態を記述していることが多いと思いますが、「山頂にはまだたどり着いていないけれども、今すでに3合目にいて、頂上にたどりつく登山という素敵な道のりにいる」という感覚を持つことができます。

この感覚を持てた方が、何やら毎日が楽しい感じがしたり、既にヴィジョンが実現しつつある感じがしませんか?

このような感覚をもつために、次のことをお勧めしたいと思います。それは、ヴィジョンの根源にある内なるエネルギーや主体的真理とつながる過去のエピソードと現在進行系のエピソードを自分なりに整理して、語れるようにしておくことです。

落合文四郎コラム ヴィジョンは過去にその本源がある

ヴィジョンにつながった、既に実現している、あるいは実現しつつあるストーリーを語れるようにしておくことで、自分の中で「今ヴィジョンに生きている」感覚を再確認することができますし、それを周囲の人に語ることによって、周囲の人にも同じ感覚を持ちながら仕事に取り組んでもらうことができます。

私自身、過去や現在の取り組みが、どのようにヴィジョンにつながっているかについて、いつも考えては、全体朝礼などを通じて社員に語り、また、その反応やフィードバックを通じて、新しいつながりに気づくということを繰り返しています。

そして、語れば語るほど、自分自身がヴィジョンに生きている感覚が強まると共に、同じように感じてくれている仲間が増えていっていることを肌身で感じています。

ヴィジョンシリーズは、この記事で最終回となります。ここまでお読み頂き、どうもありがとうございました!

落合文四郎blog
2021.09.09