コラム : 中国で成功している企業の特徴 ~“家族意識”を形成する~

2014年02月18日

キヤノン(中国)有限公司

中国のデジタル一眼レフの市場で大成功を納めたのが、キヤノン中国様である。その事業成功の指揮をとっていたのが、キヤノン株式会社 常務取締役 小澤秀樹氏である。小澤氏がキヤノン中国の社長に着任して、早々に取り組んだ施策の一つが、企業風土改革だという。着任当初、販売会社に行ってみると、日本人社員も中国人社員も、挨拶をしなければ、感謝の気持ちもなく、「モノを売る会社じゃない、サービスを提供する会社じゃない」と感じられたそうだ。そこから、小澤氏は、挨拶運動というものをはじめた。10~30人で組まれたうちわをもった『你好(ニーハオ)隊』が、毎朝社内中を歩き回り、例え役職者が会議中でも無礼講なしで、すべての部署を回り、「ニーハオ」「ニーハオ」と挨拶をする運動を、なんと6年間も続けたそうだ。更には、毎週月曜日をレッドパッションデーと定義し、男性は赤いネクタイ、女性は赤いスカーフを着用するようにし、全社員一丸となって販売マインドの形成を試みたそうだ。極めつけは、毎日2時半になると、社内中にポップな音楽が流れ始め、社員が一斉に踊り出す文化を作った。このような取り組みの結果、現在ではこういった行為が当たり前のように組織に浸透し、それが組織全体の士気をあげているようだ。

日本では少々考えられないかもしれない。しかしこれで社員間に“家族意識”が形成され、それが組織としての一体感、共通する文化・価値観を根付かせていたとしたら、組織統制はより容易になるのではないだろうか。 中国ではわかりやすさが大事だ。日本人としては恥ずかしいかもしれないが、これだけストレートにわかりやすく、“家族意識を見える化”することが大事だと私は考える。

その他、小松製作所、マクドナルド、スターバックス、ブラザー工業、理念経営を推進している京都系の企業などがある。これらの企業も、社内イベント、社内向けプロモーション向けDVD、社内パフォーマンス、社内教育、理念浸透などの取り組みを通じて、“家族意識”を形成した会社だと私は考える。

“家族意識”の形成が、いずれ独自の文化を作る

理念浸透 家族意識の形成

最後に、一つだけ加えて本書を終えたい。

これらの企業は、“家族意識”を形成した結果、社内には興味深い文化が形成されている

  • 人前で叱る
  • 中国全土に散らばる数千人の販売員から、毎日行動実績の報告が自動的に上がってくる
  • より良いサービス・商品を提供するための提案が、毎日上がってくる
  • 上司が部下を、まるで弟子のように底的に部下の育成・面倒を見る
  • 上位役職者に、提言をしてくる
  • 不正をしない
  • 満面の笑みで、顧客の無理難題に応えようとする
  • お互いの成長と成果のために、チームワークが盛んである

我々にとって、中国人は、「人前で叱ってはならない。面子が潰れる」「改善提案をしない」「販売員のサービス・愛想が悪い」「ホウレンソウをするのを嫌がる」「部下育成をしない」「周囲に対して協力しない」などと、散々聞かされてきた。しかしこれらの企業は、“家族意識”を形成した結果として、社内の中にその“家族”ならではの中国の文化ではない、独自の文化・ルール・価値観が形成されたようだ。

“家族意識”が形成されたことで、組織に対するエンゲージメントが上がり、且つ新しい文化・ルール・価値観が共有された。組織に対するエンゲージメントがあがり、新しい文化・ルール・価値観が共有されたことで、組織がより統制し易くなった。組織統制が容易になったからこそ、事業の方向性に向けて、組織が動いてくれる。

日系企業の中国現地法人は、事業の成功や失敗で一喜一憂する前に、しっかりと事業方針を実行してくれる組織を作るべきではないだろうか。その組織が実行しないことには、事業の成功や失敗を評価、改善することは無意味なのではないだろうか。

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