コラム : 中国で成功している企業の特徴 ~“家族意識”を形成する~

2014年02月18日

成功している企業の具体的な事例とは

それでは、中国で成功している企業と共に “家族意識”を形成している取り組みを以下に紹介しよう。

海底撈(ハイディラオ) 四川風火鍋料理 外食チェーン

海底撈は1994年に設立された四川風火鍋料理を、北京、上海、西安、鄭州、天津、南京、青島、杭州、無錫など中国国内の15の都市に加え、米国、シンガポールなど全世界で約90店舗を持つ外食チェーンである。ROAは、30.5%、ROEは、40%に達する。その特徴は、一人一人の真心で感動的なサービスを生み出せることを理想としている。金曜日の夜に行けば、3時間の順番待ちは当たり前である。順番待ちの間には、無料のネイルアートサービスが提供され、また待合室に置かれたボードゲームで遊ぶことができる等、お客様を飽きさせない工夫がなされている。従業員は満面の笑みで、高い接客サービスを提供する。個人的にはこの接客態度には心が篭っており、日系外食チェーンのマニュアル通りの接客とは訳が違う。

成功の裏には、もちろん事業上の取り組みがあるが、ここではそれらを実行している組織としての取り組みに着目をしたい。(事業上の取り組みの詳細は、Tech-On! 「中国飲食サービス新時代の幕開け」を参照)

海底撈は、理念経営を通じて、“家族意識”を形成し、組織統制を可能にしたと私は考えている。創業者の張勇氏は、「顧客などのステークホルダーがみんな満足して、従業員だけが不満だといような企業を作りたくなかった」という。そんな想いから、「自分の両手で運命を変えよう」という理念を社内で徹底するために、社内のありとあらゆる仕組みや制度に反映させると同時に、それらの仕組みを運用する従業員の意識変革と行動変革を、社員教育を通じて行った。一例としては、従業員の住居にはじまり、従業員の教育、従業員の子供の教育に至るまで、福利厚生を充実させている。従業員は、会社が契約したマンションで集団生活を送っており、身の周りの世話は、専門のメイドが行っている。そのような最低限の身の回りを気にしない環境を会社側が提供すると同時に、職場では良いアイディアやサービスが継続的に創出されるように、従業員に権限を与え、自らの判断で顧客志向のサービスを提供することが許されている。現場の従業員は、顧客志向のサービスを日々提案することが奨励されており、その中で生まれた一つのサービスが、お客様の目の前で披露される「麺打ちパフォーマンス」だ。その活躍の結果、貢献が認められた人は、身分問わず奨励され、農民工が役員に昇進することもある。また、上司にとっては、「部下が主」というサーバントリーダーシップの考え方が定着しており、上司は毎月部下に評価される。数か月間連続で部下から低い評価を受けた上司は、降格される。

重要な点は、これらの諸施策や制度ではなく、「自分の両手で運命を変えよう」という理念を会社全体に浸透させ、それが会社の雰囲気・文化・ルール・共通の価値観に変わったことである。これこそがこの組織に“家族意識”を醸成させ、組織統制を容易にさせた秘訣だと私は考える。

ダイキン(中国)投資有限公司

中国で成功した日系企業の筆頭に、ダイキン工業様がある。ダイキン工業様も、いかにして“家族意識”を形成したのか。ダイキン工業様の場合は、中国はもちろんのこと、全世界で地域社会への貢献活動を積極的に展開している。その一部が、以下からご覧いただける。

加えて、これらの地域貢献活動は、日本人駐在員とローカルスタッフが一緒になって、企画から運営まで、自前で取り組んで行くのである。「地域や顧客に貢献する」という一つの目的に向かって、ああでもないこうでもないと、意見を出し合って、時には揉めながらも、最後には共に汗を流すのである。皆さんも一度は経験したことがあるだろう。高校・大学の時の文化祭を成功させた時の一体感。こういった取り組みの回数と継続性が、ダイキン工業に“家族意識”を形成しているのであると私は考えている。

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