コラム : 中国で成功している企業の特徴 ~“家族意識”を形成する~

2014年02月18日

アルー株式会社 海外事業部 管理グループ グループリーダー 大橋徹

アルー株式会社 海外事業部 管理グループ グループリーダー 大橋徹

5~23歳まで米国カリフォルニア州で育ち、カリフォルニア大学アーバイン校情報工学部卒業後、日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社。その後、採用コンサルティング会社を経て、2009年にアルー株式会社に入社。2012年7月より、社内公募制度で上海現地法人の組織開発コンサルティング事業立ち上げの企画・遂行に従事。2014年2月より、海外事業部にてサービス開発業務に従事。


中国で成功している企業の特徴 ~“家族意識”を形成する~

13億人の人口を誇る中国。世界の人口の約20%に値する。言わずと知れた世界最大の市場である。加えて、毎年7%台のGDP成長率で急速に成長している購買力のある市場。この市場で勝ち抜くことが、企業の今後の行く末を左右していると言っても過言ではない。

では、日系企業はこの巨大市場で成功していると言えるのか。「中国で日系企業は苦戦している。」というのが一般的な見方である。中国で成功していると言われる外資系企業の代表格は、欧米系、韓国系、台湾系企業である。

日中間の領土問題以降、日系企業の関心はインドやASEANに向けられている。しかし世界の約20%の人口を占めるこの巨大市場で勝ち残れない日系企業に、その先の未来はあるのだろうか。中国市場で成功体験を得られずに、本当にインドやASEANの市場で成功できるのだろうか。

日系企業が中国で苦戦している理由を、政府が課している規制や日中間の領土問題を取り上げる企業もいる。それらの影響は確かに大きい。しかし政府が課している規制は、日系企業だけを対象とはしていない。加えて、日中間の領土問題の最中でも、成功している日系企業は確実に存在している。

当社は、中国で日系企業現地法人向けに組織開発コンサルティングサービスを提供している。年間約300社の日系企業現地法人を訪問すると同時に、中国で成功している欧米系・中資系の企業の調査も行ってきた。その中で見えてきた、中国で事業が成功している企業と成功していない企業の傾向をここで紹介したいと思う。

事業戦略を実行するのは、組織や人である。組織や人が実行しなければ、その事業戦略の良し悪しは評価できない。仮にそれがどんなに素晴らしい事業戦略だとしても、組織が適切に統制され、実行されなければ絵に描いた餅に終わる。従って、ここでは、「中国で組織が統制されている企業の特徴」という点に着目して行きたい。

中国で事業成功している企業には、一つの共通項がある。

中国事業成功

「“家族意識”が強固な企業ほど、事業が成功している」

もう少し解説すると、これらの“家族意識”が強固な企業ほど、見事なまでに組織が統制されている。組織が統制されているからこそ、トップが示した事業の方向性に向かって、組織がしっかり実行してくれるのだ。

何故、“家族意識”を形成することが、組織を統制することに繋がるのか

中国の方々にとって、家族は大切に存在である。中国はその歴史上の背景から、常に隣国から侵攻を受け、また国内でも覇権の取り合いが多かった。それが故に、自分の身を守るために、信頼できる“内”の人をどれだけ多く作るかが生きるための知恵になった。だからこそ“同族意識”が強いと考えられる。(今でも、田舎に行けば、●●家の村というものが存在する。)このような歴史上の背景から、“家族を大切にする”、“人脈ネットワークが大事”という中国文化が形成されたのではないかと私は考えている。

よく中国人は、自己中心的、個人主義、協調性がない、チーム視点がない等という声を聞くが、“家族意識”を持っている“内”の人に対しては、むしろ真逆の現象が起きる。“内”の人に対してだけは、圧倒的な味方になってくれ、時には見返りなく協力をしてくれる。“内”の人が“外”から傷つけられれば、徹底的に戦いに行くという頼もしさも備えている民族なのだ。

そして、“内”に入る人は、家族・親戚だけとは限らない。要は、“内”に入れるに値するだけの信頼がある、共通の何かを共有している、と感じられる“家族意識”を感じてもらえればいいのである。ここに組織統制の鍵があると私は考える。

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