コラム : インドビジネス成功への近道

2014年01月14日

アルー株式会社 インド現地法人 マネージングディレクター 岩名 隼人

アルー株式会社 インド現地法人 マネージングディレクター 岩名 隼人

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、信金中央金庫にて企画、融資審査、債権管理業務を担当。その後、株式会社ベンチャーバンクに入社。経営企画室にて、社内体制整備と制度立案・導入に従事。2010年アルー株式会社に入社。コーポレート部にて戦略立案、社内制度構築を経て、アジア数カ国での在住経験を活かし、11年10月よりインド現地法人マネージングディレクターとして営業・人事・経営を統括。


インドフード市場は780億ドルに -「コスト」と「環境」が課題-

インドビジネス成功の近道

インドレストラン協会(NationalRestaurant Association of India)は、インド外食産業の市場規模が480億米ドルに達し、さらに今後2018年までに780億米ドル(年平均成長率:11.0%)になるとの見解を、同協会発行の「IndiaFood Services Report 2013」にて発表した。同産業がインド全体のGDPに占める割合は、2.3%とサービス分野では通信業を超えて小売業、保険業に次ぐ第3位であり、主要産業の1つとなった。

また、昨今の外資系外食企業の積極的な参入および店舗網拡大により、ドミノピザやマクドナルド、サブウェイ等の日本人にも馴染みのある外資系飲食店が、デリーやグルガオン等の大都市では自然に散見されるようになった。

更に、NRAIによる来店客への来店頻度調査では「週1回」という回答が全年齢層で最も多く、頻度としても外食はインド人のライフスタイルの一部として浸透しつつあることを伺わせている。

元来、伝統的に保守的な食文化を有するインド人は、海外に居住するNRI(Non – Resident India)含む印僑であってもインド料理中心の食生活を好む傾向があるが、昨今の若者中心の食文化の西洋化に伴い、若年層中心ではあるものの、自由な食生活を営む年齢層は確かに増えつつある。

このように、外食産業としての市場規模の拡大、外資系外食企業の積極参入と拡大、バラエティ豊富になりつつある食文化、外国食文化のライフスタイルとしての浸透等から、日本の外食産業にとっての参入の条件が整いつつあり、状況としては追い風を受けていると言えるだろう。

客単価は日本の7割 -解決すべき課題-

もちろん、マイナス要因や解決すべき課題も存在している。

インド外食産業

例えば、都市部に居住する年収50万ルピー(約83万円、月収約69,000円)の22~25歳をターゲットとしよう。NRAIの調査結果によると、22~25歳の年齢層の外食頻度は「週1回」との回答が最も多く、その支払金額はファーストフード店で100Rs(約165円)~400Rs(約660円)、カジュアルレストランで100Rs(約165円)~600Rs(約990円)とされている。ここでは、平均をとって、ファーストフードで250Rs(約413円)、カジュアルレストランで350Rs(約578円)と考えると、その消費者価格は日本の同様な業態の価格と比較して6~7割程度であり、月収(約69,000円)が日本人平均月収(350,000円と仮定)の約5分の1と考えると、インドの外食産業の消費者価格は決して低くない。よって、他産業(特に製造業)において「低い販売価格と卸価格の国」と認識されやすいインドではあるが、外食産業においては高価格である。むしろ、インド外食産業における課題は、コスト面と環境面があげられる。

まずコスト面では、食材価格の継続的なインフレ(2010年~2012年平均で約12%)、高騰し続ける都市部の土地価格、高率の税金(物品税(料理):12.5%、物品税(アルコール):20.0%、サービス税:4.94%)等が、事業者の大きな負担となっている。

また、物流網やコールドチェーンが未発達であることは、運営のボトルネックになるだけでなく、仕入コストアップにもつながっている。

一方、人件費においては、JETROの「投資コスト比較」によると店舗スタッフ(飲食店)の平均給与は7,000Rs(約11,550円)~9,000Rs(約14,850円)と日本と比べてかなり安いが、主に日本人主導の初期セットアップコスト(店舗・設備、食材仕入、人員採用)、(継続的な)人材育成コスト、その他管理運営体制にかかるコスト等を考えると、必ずしも給与の安さだけでは実質的な人件費コストを測りきれない。

更に、飲食店を展開するにあたって必須の煩雑なライセンス取得や複雑な税制等、解決すべき課題は多岐に渡るため、自社の力だけでなく良きパートナーと協業で解決すべき課題が多いと言える。

また、外食産業全体としては強いアップトレンドにあるが、実は未だに外食分野で最も比率の高い多い料理はNorth/South Indian(40%)やインド人向けにカスタマイズされたChinese(24%)であり、両方で6割強を占めている。現地では比較的認知度が進んでいるイタリアンですら未だ3%程度である。よって今後、日本外食企業が進出して大きなシェアを取るには、地道なマーケティング活動と質と価格を担保した商品・サービス提供を、一長期に渡って継続することが不可欠といえるだろう。

コラム-テーマ別

レポート-テーマ別


「 インドビジネス成功への近道 」のトップへ