コラム : 日本の外食産業がインドネシアで勝つためには、 「イノベーション」と「人材育成」が必須

2013年11月07日

Muhammad Arfian ムハンマド・アルフィアン

PT. ALUE INDONESIAディレクター
Muhammad Arfian ムハンマド・アルフィアン

インドネシア国籍、一橋大学商学部卒、一橋大学大学院国際企業戦略科終了MBA。
A.T. カーニー株式会社を経て、コンピュータ・セキュリティ会社とインドネシアの地方自治体公社にて新規サービス開発・戦略立案・投資誘致の一連業務に従事。現職アルーにおいて、インドネシアにおける日系・現地企業に対して組織開発・チェンジマネジメント・人材育成コンサルティングを手がけている。日本からの海外派遣研修受講者に対してインドネシア文化・ビジネス動向等の講師として、グローバル人材育成に携わる。日本で16年間過ごした後、2007年帰国。日尼の働く文化への理解と適用が強みである。


市場のニーズにマッチしたメニューとサービスの提供

インドネシアビジネス

安定している政治と高い成長率で経済が発展しているインドネシアでは継続的な人口の増加と購買力のある中間層の増加で、外食市場の規模が拡大している。これに惹かれて近年海外からの外食企業の参入が相次いでいる。日本企業にとってもインドネシア外食市場は魅力的な市場である。20年前は高級ホテルにしか見られなかった日本食のレストランは最近ファストフードから本格的な日本料理店まであらゆるところで気軽に利用することができる。

2008年から日本の外食企業の参入が本格化しており、「モスバーガー」、牛丼の「吉野家」と神戸の「ランプ亭」、ラーメンの「山頭火」、食事処を狙った「大戸屋」等の日本で名前がよく知られた外食企業が首都ジャカルタに登場した。そのほか、元気寿司系列の「千両」や日本で洋食系の外食企業でステーキ中心の「ペッパーランチ」、和風パスタの「パスタ・デ・和楽」、カレーの「えびすカレー」と「COCO 壱番屋」、パンの「ぱん屋」もインドネシアに続々進出してきた。

日本発だけではなく、現地発と他国発の日本レストランもインドネシアの外食市場に参画している。インドネシアのエカボガインティ社は日本の持ち帰り弁当会社からの技術支援を受けて「ほかほか弁当」チェーンを展開しており、現在インドネシアにおける最大の日本のファストフードチェーンとなっている。

また、インドネシア発の本格的な日本料理を提供している「TAKIGAWA」はジャカルタだけでなくインドネシアの主要都市であるバンドゥンやマカッサルやジョグジャカルタ等にもフランチャイズ展開をしている。そのほかシンガポール発の「SUSHITEI」とインドネシア発の「RAMEN38」もインドネシアの外食市場における競合を活発化している。

このような状況の中で勝ち残って、成長していくためにはやはり深く考えた上の戦略と大きな努力が必要になる。例えば「TAKIGAWA」をみると、パーティ・テントのレンタル業から事業を始めたオーナーは外食事業に進出した際、日本を訪れていろいろな日本料理店を回って徹底的に日本料理を研究して、ジャカルタの有名な日本料理店から抜擢した7人のシェフと一緒にインドネシアのお客様に最適な日本料理メニューを開発したといわれている。

その結果、当時ジャカルタの日本食レストランにあまり出されなかったメニューを含めてインドネシア人の舌に合った日本料理が提供できた。また、店が本格的に稼動した後も絶えず店のコンセプトやメニュー等にイノベーションを起こしている。それによって「TAKIGAWA」はインドネシアのセレブリティ顧客等によって口コミで店の評判が広まり、ジャカルタ周辺とインドネシア主要都市で29店舗を展開している。

「ほかほか弁当」はファストフードに変更

インドネシア外食産業

インドネシアの「ほかほか弁当」は販売コンセプトを「持ち帰り」から「ファストフード」に変更して、現地化した日本食メニューを手がけて成功している日本食のファストフードチェーンである。中央ジャカルタにある小さな店から始まり現在「ほかほか弁当」はジャワ島とバリ島を中心に148の自社店舗を展開している。

創立者かつ社長であるヘンドラ・アリフィン氏は店舗展開する上でフランチャイズ化せずに自社店舗で販売網を広げることに徹底している。また、サービス品質を高度に維持できる店舗展開をやっている。そのため、会社設立25周年を迎えた2010年にやっとインドネシアの観光地の中心バリ島のデンパサールに2店舗を開店した。外国人観光客が多く訪れるバリでは標準以上のサービスを提供しなければいけないと考えているのである。

母体のエカボガインティ社を創立したヘンドラ・アリフィン社長は「企業の成功は人材や綿密な計画にかかっている。優秀な人材の育成を経てやっとバリ進出を果たすことができた。バリの様々なレストランの新たな選択肢としてすべての人に利用してもらいたい」と述べた。

あえてここで日本から進出している企業の事例を取り上げないのは現地発の日本食レストランでもインドネシアの外食市場で成功できることを示したいのである。現地発の日本食レストランがインドネシアで成功できれば本土の日本から参入してくる伝統と実績のある日本食レストランが成功できないはずがない。しかしながら、現実は中
途半端に準備をしてインドネシアで失敗した企業が後を絶たない。

基本をきちんと実践する

二つの事例から学んだことは、成功している日本食レストランは基本をきちんと実践していることである。「TAKIGAWA」は日本食レストラン市場に参入する前に徹底的な研究に基づくメニュー作りと必要な人材の確保をして、レストランが開業した後もイノベーションを続け、セレブリティによるプロモーションとフランチャイズ化で店舗ネットワークを拡大した。「ほかほか弁当」も「イノベーション」と「人材育成」を大事にすることで成功を収めている企業である。

研究してイノベーションを行い、市場のニーズにマッチしたメニューを提供し、必要な人材を揃え、お客様が求める必要なサービスが行えるレベルまで研修を行うことがインドネシアの外食市場で成功するキー・ポイントとなっている。日本企業も基本をしっかり行いインドネシア外食市場で成功して欲しい。

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