コラム : 中国人従業員のやる気を引き出す2つのポイント

2013年03月31日

アルー株式会社グローバル企画室リーダー 孔 令愚

アルー株式会社グローバル企画室リーダー 孔 令愚

埼玉大学工学部卒、日本大学大学院にて、グローバルビジネス研究科修了、経営学修士取得。
日本マクドナルド株式会社に入社し店長として年商3億円の店舗運営に携わった後、大学院にてMBA取得。その後、人材開発コンサルタントとして、育成体系構築や、講師登壇を務める。


中国における接客業の位置づけ

中国人従業員のやる気を引き出す2つのポイント

日本の基準から見ると中国の一般的な小売店や外食店の店員の接客レベルはまだまだ改善の余地があり、私自身も中国人の店員向けに「おもてなし精神」といった研修をよく行っておりますが、彼らの接客意識を向上させるのは決して容易なことではないというのが私の実感であります。

もちろんサービス意識の欠如や基礎スキルの低さといった課題はあるものの、根底にある根深い課題として中国における「店員」という職業の待遇と社会的な地位の低さに挙げられます。

ショップやレストランの店員の月収は上海周辺でも2,000元程度で地域によってはそれ以下であることがあり、かつ中卒・高卒レベルでも出来る職業という認識があるため、接客業に従事する当人たちは「なぜこの程度の待遇でそこまでのサービスをしなくてはいけないのか?」と思うことが多く、「サービス業はお客様を大切にしなくてはいけない」と教えたところで仕事に対するモチベーションは上がらず、それがお客様に対する接客態度に表れているのが現実となっています。

給料以外の要因でモチベーションを引き出すには

給料以外の要因でモチベーションを引き出すには

では、彼らに「お客様のために一生懸命頑張る」という意欲を引き出すためにはどうすればよいのでしょうか?接客に対する中国人のモチベーションを上げる一つの手段としては「高い給料」があり、実際に中国に進出している海外の高級ブランド店や一流ホテルは相場の何倍もの報酬を支払い、大卒レベルの人材を採用しているため一定の接客レベルを実現しております。

しかし、通常の価格帯の店舗で高学歴人材に「高い給料」を払うのはそもそも非現実的であるため、如何にして「お金」以外の要因で従業員のモチベーションを引き出すかが企業(特にBtoC業界)にとって大きな課題となってきます。

この課題を解決するためのヒントが先日中国でショップの店員さん向けに研修を行ったとき、研修の締めくくりで受講生の一人が言った言葉にありました。

『友達から「こんなところで働いていても将来は無いよ」と言われましたが、接客を頑張って将来ここがお客様に愛される評判のお店になったとき、私は胸を張って「ここで働いている」と言えます』

この受講生の言葉から中国人従業員のモチベーション向上のポイントとして以下の2つが重要では無いかと考えます。

  1. 自分の仕事の価値(世の中から必要とされている)が理解できる
  2. 仕事を続けることでどんな明るい未来が待っているかイメージできる

この研修では冒頭に「皆さんがここで働くのはなぜですか」と質問したところ、ほぼ全員がはっきりと「お金のため」と答えており、日本のように「接客が好きだから」「お客様の笑顔が見たいから」といった積極的な動機ではなく、あくまで金銭を得る手段の一つとして割り切っているのが実情でした。

言い換えれば、彼らは単に自分の仕事の価値と未来について知らない(考えたことがない)だけで、もし彼らに仕事の意義とビジョンを伝え、自分で考えさせる場を設けることが出来れば、彼らの仕事に対する意識も大きく変わるのではないかと思います。

前述の受講生も研修の冒頭ではそこまでは意識しておりませんでしたが、自分の仕事の意義と将来について考えるうちに先ほどの言葉が出てきたので、中国人従業員が自分の仕事に誇りが持てるように仕向けることが出来ればいずれ中国の接客レベルも飛躍的に向上する可能性があると個人的に期待しております。

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