コラム : グローバル人材に必要な英語力とは?

2012年03月19日

アルー株式会社 代表取締役社長 落合 文四郎

アルー株式会社 代表取締役社長 落合 文四郎

東京大学大学院理学系研究科卒、株式会社ボストンコンサルティンググループ入社。国内大手通信会社の新規事業立ち上げ支援、国内中堅企業向け人事制度構築や国内一部上場食品メーカー向け人事制度基本コンセプト策定などのプロジェクトに参画。理学系のバックグラウンドを活かし、特に論理的/分析的思考において強みを発揮。2003年10月、株式会社エデュ・ファクトリー(現 アルー株式会社)を設立。現在、海外新規事業開発、中国事業(上海現地法人)、グローバル人材育成、 社員エンゲージメント研究の統括を行う。


グローバル人材の育成をする、あるいは、自らグローバル人材になるにあたり、英語は避けては通れない課題である。グローバル人材における英語の位置づけを明確にするために、グローバル人材とは何かをまず考えておきたい。

たかが英語、されど英語

グローバル人材の定義は、会社の事業・組織戦略に応じたものであるべきなので、唯一絶対のものがあるわけではないが、アルーが考えるグローバル人材とは、以下の3つの要件を満たす人材である(表1参照)。

表1. グローバル人材とは? グローバル人材の3つの基本要件

異文化受容
[ボーダーレス]
国境、人種、文化の壁を越えたコミュニケーションがとれること(語学を含む)
主体性
[イニシャティブ]
自分から動いて、周囲に働きかけることができること
チームワーク
[1+1+1>3]
チームとしての相乗効果を生み出すことに貢献できること

すなわち、語学ができるだけでグローバル人材になれるわけではない半面、語学ができなければグローバル人材とは言えない。英語がグローバルな環境での標準語となりつつある今、英語はグローバル人材となるための必要要件といえる。

どのようにすれば英語を習得できるのか?

まずは、英語習得のゴールを明確化するべきである。多くのビジネスパーソンにとって、きれいな英語や100%正しい英語を話せるようになることがゴールではない。あくまで英語をツールとして使い、ビジネスの目的を達成できることがゴールである。そのゴールを達成するためには、「ネイティブ英語」ではなく「ノンネイティブ英語」を習得すれば十分なのだ。アジア諸国に行ってみるとわかるが、インド人はインド人の英語、シンガポール人はシンガポール人の英語を話している。日本人は堂々と日本人の英語を話せばいい、と私は思う。

では、そのためには具体的にどのように学習すればよいのだろうか。まずはTOEIC470点程度をとれるレベルの文法と単語の基本を押さえる。文法は、中学生の教科書に出てくるレベルで十分。単語はたくさん覚えているに越したことはないが、TOEIC470点レベルの単語力があれば、最低限の会話はできる。既にTOEIC470点以上ある人は、このプロセスは省いてよい。

次に「話す」練習をする。ここで大切なことは、「話す」ことにフォーカスすることである。英語の活用場面「話す」「聞く」「書く」「読む」のうち、日本人がもっとも苦手とするのは「話す」である。「聞く」ことに苦手意識をもつ人もいるが、話せれば少なくともそのレベルの中では「聞く」ことができる。また、ビジネスにおいて「聞く」ことができない部分があっても、「話す」ことができれば質問したり、確認したりできる。

「話す」練習は、3つのパートから構成される

グローバル人材に必要な英語力とは?

1つ目のパートは、日本語の短い文を英語の文章に変換する練習である。たとえば、「鳥が飛んでいる」→「A bird is flying」という要領だ。少し複雑になってくると、「公園の中で走っている犬は私のものではありません」→「The dog which(that) is running in the park isn’t mine.」となる。このときに大切なことは、「書く」のではなく、「話す」ことで変換していくこと。そして、日本語を聞いてから3秒以内に英語を話し始めることだ。日本人は、今までの教育の中で英作文をある程度やっているので、時間をかければ書けるという人は多い。ただ、実際のビジネスで求められているのは、相手が話してから遅くとも3秒以内に反応することであり、作文をすることではないので、口頭で3秒以内に反応する練習が必要なのだ。また、このときに丸暗記をするのはいけない。丸暗記は経験的アプローチであり、論理的アプローチではない。あくまで、日本語→英語の変換ロジックを頭に作ることが大切である。変換ロジックを作るには、少し鍛錬が必要である。英語の習得には、野球の守備と同じ、1000本ノックによる反復練習が必要になる。

2つ目のパートは、パラグラフスピーチだ。パラグラフスピーチとは、複数の文で自分の言いたい内容を伝えることである。このときは、結論を先に言って、理由・ポイントを2つから4つにまとめて言う練習をする。例えば「パンとご飯、どちらが好きか?」という簡単な問いに対して、2分以内に主張のポイントを考え、3分で主張するという練習を繰り返す。短い時間の中で考え、話すという練習をする理由は、先ほどと同様、ビジネスの場面で求められていることに対応するためである。これは100本ノック。

3つ目のパートは、双方向コミュニケーションだ。ここでは、(1)わからないことを質問すること(ask)、(2)自分の理解を確認すること(confirm)、の2つのやり方を習得する。ビジネスの会話において、相手が言っていることが聞き取れなかったり、理解できなかったりすることは、日本人同士が日本語で話していても起こることである。ここで大切なことは、堂々と質問して、確認をすること。その大切さと具体的な言い回しを覚える。これは覚えてしまえば、それでよい(表2参照)。

ここまでくると、能力としての英語は、必要最低限備わっている状態になっている。

表2. ノンネイティブ英語取得の3ステップを踏まえた英語学習法

内容と効果 日本人にとってのチャレンジ
Step:1
瞬間口頭英作文
  • 日本語の短文を、瞬間的に(3秒以内に)、口頭で、 英作文する
  • 日本語→英語の変換ロジックが身につく
  • 単語の羅列ではなく、センテンスを作る

  • 正しい文法を用いる
  • 3秒以内に話し始める
  • 途中で止まらずに話す
Step:2
パラグラフスピーチ
  • 3~4つ程度の短文を用いて、意見を主張する
  • 論理的に主張する力が身につく
  • 論理的に構成する
  • 文と文のつながりを明示する
Step:3
Two-way
コミュニケーション
  • 相手に、質問をしたり、確認したりする
  • 相手が言っていることが 多少わからなくても、コミュニケーションが成り立つ
  • わからないときに、聞く
  • 自分の理解を確認する

最後の一押しは、「自信」

「自分は、英語を完璧に話せるわけではないが、ビジネスに最低限必要なレベルは何とかやっていくことはできる」という自信が必要だ。これには、「成功体験」が必要となる。出張や電話会議の場において、自分の英語力だけで何とかする場面を自ら作り、トライしてみることだ。それまでの1000本ノックによる鍛錬さえあれば、その場では緊張のあまり、しどろもどろになりながらも、「英語でビジネスを進めることができている」自分に気づくだろう。

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